円満な有給取得に向けて(その①)|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.42

円満な有給取得に向けて
-その①-

ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
本日は、有給問題への対策についてお話したいと思います。
従業員の有給取得問題は経営者の頭を悩ませる問題の一つかなと思います。
特に、中小企業では、人員に余裕があるという状況にあまりなく、1人が有給を取得するだけで業務への支障は大きくなります。
具体的な経営者の悩みとしては次のようなものが考えられます。
- 取得直前に有給の申請をしてくる
- 繁忙期に有給を申請してくる
- その人がいないと困る日に有給を申請してくる
- 長期の有給を申請してくる
では、これらの有給に関する問題に経営者はどう立ち向かうべきでしょうか?
もちろん、有給は従業員の権利ですので、取得してもらうことはいいのですが、可能な限り業務に支障の出ないような配慮をしてもらえると経営者としては、嬉しいですよね。
従業員にその意識を植え付け、円満な有給取得が企業の文化になるようにするための具体的な対策を紹介したいと思います。
まずは、申請の手続きを明確に定めましょう。
一般的には、
第●条 従業員は、年次有給休暇の時季を指定しようとするときは、その日の前日から起算して1か月前までに、所定の手続きにより、会社に届け出なければならない。
2 従業員は、年次有給休暇の時季を指定することにより、連続して4日以上就労しない場合(所定休日を含んで連続して4日以上になる場合も含む)において、当該年次有給休暇の時季を指定しようとするときは、連続して4日以上就労しない期間の初日の前日から起算して3か月前までに、所定の手続きにより、会社に届け出なければならない。
と規定すると思います。
このように事前届出手続きを定めることはとても重要です。
これに加えて、以下のような規定も加えると、経営者側の思いが従業員に伝わるのではないかと思います。
第●条 ・・・
3 従業員は、年次有給休暇の時季を指定しようとするときは、次の状況が発生しないように努めなければならない。
(1)同職種の従業員2名以上が同日に時季を指定する。
(2)●月などの繁忙期に時季を指定する。
4 従業員が、年次有給休暇の時季を指定し得る就労日に欠勤した場合において、あらかじめ会社に届出をしなかったときは、当該欠勤日は無断欠勤とする。
5 会社は、前項の規定にかかわらず、あらかじめ第1項または第2項の届出ができなかった場合において、従業員が当該日を年次有給休暇の時季として指定して届け出るときは、従業員の提出する資料により、やむを得ずあらかじめ届出ができなかったと認められる場合に限り、当該欠勤日に年次有給休暇の時季が指定されたものとすることができる。
3項では、経営者として有給の取得を避けて欲しい時季を定めておくと、従業員側で配慮してくれるようになりますので、努力義務として定めておくとよいでしょう。
次に、4項を定めることで、1項・2項の事前届出を遵守してくれやすくなります。
もっとも、やむを得ず事前の届出ができない場合もありますので、5項で例外的に事後的な有給取得を認めておくと従業員も安心すると思います。
このように、有給の取得手続きだけでも、経営者の思いと従業員への配慮を上手く取り入れることで、円満な有給取得に向けた仕組みにすることができます。
ぜひ参考にしていただければと思います。
次回は、年次有給休暇の計画的付与のお話をしたいと思います。
本日は以上です。
それでは、よい一日を。
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