電子マネーと給与支払い~給与もPayPay~(その①)|ウィンベル式無敵の労務管理Vol.27

電子マネーと給与支払い~給与もPayPay~
-その①-

ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
本日は、電子マネーによる給与支払いについてお話したいと思います。
令和5年4月から給与支払い方法について、電子マネーによる支払いが解禁されました。
それに伴い、今年の8月にPayPayが給与受け取りサービスを開始しています。
電子マネーによる給与支払いが解禁されてからしばらく動きがありませんでしたが、PayPayによるサービス開始を受け、来年以降さらに関心が高まるトピックかも知れません。
もしかすると、現在、導入を検討されている会社もあるかもしれません。
そこで、今日から数回に分けて、電子マネーによる給与支払いについて解説をしたいと思います。
初回の本日は、電子マネーによる給与支払いの概要をお伝えしたいと思います。
次回以降は、より実務的かつ具体的な話をしたいと思います。
さて、そもそも、労働法上は、賃金の支払いについては「通貨払いの原則」があります。
つまり、現金による支払いです。
多くの企業では、現金ではなく銀行口座への振込みが大半かと思いますが、これはあくまで例外です。
電子マネーについても当然例外に該当します。
そのため、この例外を認めてもらうためには、いくつかのハードルをクリアする必要があります。
詳しい内容は次回以降、説明いたします。
次に、電子マネーであればなんでも給与支払いとすることができるのかという点ですが、そもそも、電子マネーにはいくつかの種類があります。
たとえば、Suicaなどの交通系電子マネー(前払い制。事前にチャージした分しか利用できず、チャージしたお金の自由な出金はできないもの。)や、クレジットカードなどの後払い制電子マネーなどです。
今回、給与支払いとして例外的に認められたものはこれらの電子マネーではありません。
ま、当然ですよね。

って言われたらたまったもんじゃないですよね。
今回、給与支払いとして認められた電子マネーは、PayPayなど出金が可能なものです。
いわゆる、資金移動業というのですが、現金や預金と同様の流動性が認められる電子マネーです。
もっとも、資金移動業者が運営する電子マネーであればなんでも給与支払いに利用できるかというとそうではありません。

と言われても、「ワンダーペイってなんやねん。」ってなりますよね。
ですから、厚生労働省が定める要件を満たした資金移動業者(このような業者のことを「指定資金移動業者」といいます。)の電子マネーでなければ利用することはできません。
この要件はかなり厳しく、生活の糧である給与が確実に支払われ、守られるようになっています。
たとえば、
- 指定資金移動業者が破綻した場合、口座残高全額を弁済できる仕組み
- 第三者による不正利用によって損失が発生した場合の補償の仕組み
- 1円単位で給与の出金ができ、少なくとも月1回は手数料なしで出金できる仕組み
など、細かく要件が設定されています。
その結果、労使双方が安心して、電子マネーで給与支払い、受け取りができるようになっています。
本日は以上です。
次回、実際に会社で導入する場合の流れについてお話したいと思います。
では、よい一日を。
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