従業員による不正行為を就業規則でどう防止するか①|ウィンベル式無敵の労務管理マガジンVol.20
従業員による不正行為を就業規則でどう防止するか
-その1-
みなさん、こんにちは。弁護士の山口です。
本題に入る前に少しお知らせをさせてください。
この度、ウィンベル法律事務所のホームページが完成しました。こちらでも定期的にコラムを投稿しています。
現在は問題社員対策を連載していますので、ぜひ興味のある方はこちらもご覧ください。
コラムを読むさて、本題です。
本日からは数回に分けて、従業員の不正行為を就業規則を使って効果的に防止することができるか(加えて、不正行為が万が一発生した場合に適切に対処できるか)というテーマでお話したいと思います。
もちろん、「うちの会社にそんな不正行為を行う従業員なんていない」と信じたい気持ちは経営者としてあると思いますが、万が一に備えておくことは経営者としては重要になります。
従業員の不正行為の防止のために役に立つ就業規則としては、やはり「服務規律」になります。
■就業規則の服務規律を確認してみてください
皆さんの会社やクライアントの就業規則の服務規律はどうなってますか?せっかくの機会なので、一度確認してみてください。
今回は、厚生労働省が出しているモデル就業規則を見てみたいと思います。
モデル就業規則の服務規律には、このような規定があります。
(遵守事項)
第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。
- 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。
- 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。
- 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。
- 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。
- 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。
- 酒気を帯びて就業しないこと。
- その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。
これ以外には、ハラスメントはしちゃだめよとか、個人情報はちゃんと取り扱ってねとか、無断の遅刻早退欠勤はだめよとかが規定されています。
さて、どうでしょうか?
これらの規定で十分でしょうか?
皆さんの中で従業員による不正行為って具体的にどんなものが思いつきますか?
ここがとても重要で、自社でどのような不正行為が行われるリスクがあるかをまず評価する必要があります。
たとえば、現金を扱う仕事の場合、現金の横領のリスクがあるでしょうし、従業員に業務で使用するパソコンやスマホを支給する場合、私的利用やコンピュータウイルス感染などのリスクもあります。
このようなリスクを事前に洗い出し、それを防止するためにどのような規定が必要かを考える必要があるのです。
まずは、自社やクライアント先で発生し得る不正行為を洗い出すことから始めてください。
次回以降は、多くの企業で発生し得る不正行為に対して、
- 具体的に服務規律でどのような規定を設けると効果的に防止できるのか
- 万が一不正行為が発生した場合に会社が適切に対処することができるのか
についてお話します。
具体的な規定例もお伝えしたいと思います。
本日は以上です。
次回もお楽しみに。
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