就業規則の誤解を解こう①|ウィンベル式無敵の労務管理マガジンVol.14
就業規則の誤解を解こう
-その1-
みなさん、こんにちは。弁護士の山口です。
本題に入る前に少しお知らせをさせてください。
この度、ウィンベル法律事務所のホームページが完成しました。こちらでも定期的にコラムを投稿しています。
現在は問題社員対策を連載していますので、ぜひ興味のある方はこちらもご覧ください。
コラムを読むさて、本題です。
本日は、先日私がお会いしたクライアントの会社の社長から受けた質問をご紹介します。
私自身も大きな気づきがあったので、それを皆さんにも共有したいと思います。
まずはその時の質問から共有します。
同じような質問を受けた時、我々は「そう書いてあっても、懲戒解雇はできない(しない方がいいですよ。)。」と回答するのですが、よくよく考えると、変な回答ですよね。
だって、就業規則に懲戒解雇するって書いてあるのに、我々は「できません。」と伝える訳ですから。
今回、この質問を受けた時に、私は、就業規則は社長自身が正しく理解できる(正しいルールを反映した)形にしなければならないなと思いました。
確かに、就業規則にこのように記載されていれば、それを読んだ社長は当然懲戒解雇できると判断しますよね。
しかし実際は、有効な懲戒解雇をするには、事前により軽い懲戒処分を繰り返し、それでも改善しない場合でなければ、懲戒解雇が有効になることはほぼありません。
今回は、幸い懲戒解雇処分をする前にこの社長は私に質問をしてくれたので事なきを得ましたが、もし、相談なく懲戒解雇をしてしまっていたら・・・。
本来、会社を守る就業規則の記載のせいで、労働トラブルに発展していたかもしれません。
この出来事から学ぶべきことは、就業規則は裁判所が従うルール・法理に従い、社長が内容を正しく理解できるものにしなければならないということです。
今回の事例でいけば、就業規則の記載は以下のようにすべきだったと思います(なお、今回、私のクライアントの就業規則は知り合いに紹介された社労士の方が安く作成してくれたものだったようです。)。
<懲戒解雇事由>
職務上の指示命令に従わず、職場の秩序を乱し、それにより懲戒処分を受けたにもかかわらず改まらないとき
では、なぜこのような問題が生じるのでしょうか?
私は、やはり就業規則を作る際の視点によるものだと考えています。
以前お伝えした、労働基準法視点と民法視点です。(詳しくはこちらをご確認ください。)
この点についての詳しい話はまた次回したいと思います。
お楽しみに。
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