どうする!?賃金規程①|ウィンベル式無敵の労務管理マガジンVol.07
どうする!?賃金規程
-その1-
みなさん、こんにちは。弁護士の山口です。
本題に入る前に少しお知らせをさせてください。
この度、ウィンベル法律事務所のホームページが完成しました。こちらでも定期的にコラムを投稿しています。
現在は問題社員対策を連載していますので、ぜひ興味のある方はこちらもご覧ください。
コラムを読むさて、本題です。
本日は、賃金規程についてお話したいと思います。
もっとも、賃金規程については、その業種や社長・会社の考えが特に反映されるものになりますので、今回は、普遍的な部分に絞って2回に分けてお話したいと思います。
突然ですが、そもそも賃金は従業員にとってどのような影響を与えるものだと思いますか?
ここで皆さんに面白い理論をご紹介します。
ハーズバーグの二要因理論という理論です。MBAでも学ぶ、経営学において重要な理論の一つです。
この理論は、簡単にいうと、仕事に対する満足には二つの要因が影響しているという理論です。
この二つの要因というものが、「動機付け要因」と「衛生要因」と言われるものです。
動機付け要因
その要因が満たされると仕事に対する満足を高めることになる要因
衛生要因
その要因が不足すると仕事に対する不満足を高めることになる要因
つまり、衛生要因が満たされたとしても、それは仕事に対する不満足の解消にしかならず、従業員の仕事に対する満足にはつながらないということです。
では、具体的にどのような要因がそれぞれの要因と言われているのか。
動機付け要因
- 達成
- 承認
- 仕事そのもの
- 責任
- 昇進
衛生要因
いかがでしょうか?実は、賃金は、衛生要因なのです。
つまり、賃金をたくさん与えても従業員は、「給料が安い!」という不満は解消されますが、「よーし!頑張るぞー!」とモチベートされることはないということです。
意外ですよね。しかし、科学的にはこうなんです。
この理論を前提に冒頭の質問に回答すると、「賃金は従業員の不満足の解消に影響は与えるが、モチベーションアップの効果はない。」ということになります。
だからと言って、じゃあ従業員の賃金は最低限でいいのねということではありません。
当然、仕事のプロセスと成果に見合っていない低い賃金を与えてしまうと衛生要因が満たされず、従業員の不満をため、従業員の問題社員化や離職を促すことになってしまいます。
ここで、私がお伝えしたいのは、従業員のモチベーションを上げることを目的に賃金規程を作成してはいけないということです。
賃金規程を作成するときの視点は、
- 人材の確保(優秀な人材を採用するため)
- 既存の従業員の離職防止
この視点で作成することが重要になります。
では、具体的にどのような点に注意して賃金規程を作成するのか、この話はまた次回。
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