問題社員をどう管理するか|評価制度②-コーチング-

問題社員をどう管理するか|評価制度②

はじめに

弁護士の山口真彦です。

前回の「問題社員をどう管理するか|評価制度①」では、スコアキーピングについてお伝えしました。

今回は、問題社員化を防止するための対策として、スコアキーピングと合わせて導入してほしい対策をお伝えします。

それが「コーチング」です。

コーチング

ハーズバーグの二要因理論の動機づけ要因を満たすために、まずは評価方法としてスコアキーピングを行います。

そして、そこで出てきたスコアをどう活用するかですが、基本的に人は、自分で考え、自分で決めたことでなければ行動しません

つまり、自分で考えるきっかけを作ることが重要です。

そこで使うのが「コーチング」です。

コーチングは、相手を相手の望む方向へ導くための技術です。

コーチングの具体的な使い方

スコア

評価項目1について、山口さんの自己採点は4点満点中2点であり、山口さんによるAさんの評価は4点満点という結果です。

ここで、評価者は山口さんとの面談を次のような形で進めていきます。

ビジネスマン評価者

山口さんは、評価項目1について自己採点では2点ですね。一方、Aさんについては4点と評価しています。この違いは何ですか?

ビジネスマン山口

うーん……

ここで初めて自分とAさんの違いについて考え始めます。※この沈黙は非常に重要ですので、評価者は絶対に言葉を挟まず待ちましょう。

ビジネスマン山口

そうですね。Aさんは●●という点ができているので、私より高い点数にしました。

ビジネスマン評価者

そうすると、山口さん自身が4点満点になるにはどうしたらいいと思いますか?

ビジネスマン山口

Aさんのように●●ができるようになることだと思います。

ビジネスマン評価者

では、それができるようになるには、具体的にどのようなことに取り組めばいいと思いますか?

ビジネスマン山口

そうですね。××が必要だと思います。

ビジネスマン評価者

××はいつから取り組みますか?

ビジネスマン山口

明日から早速取り組んでいきます。

ビジネスマン評価者

では、私も山口さんのその取り組みに注目していきますね。次の面談の時に、山口さんが評価項目1に4点をつけられるよう、一緒に頑張りましょう。

簡単に説明しましたが、これがコーチングです。

評価者(コーチ)は一切、「〇〇をやれ」「君には〇〇が足りないんじゃないか」といった指示や否定的な言葉を発していません。

すべて相手が自ら気づき、やると決めています

こうすることで、本人の行動を自然と促すことにつながります。

そして、その行動によって結果も生まれ、最終的に評価が上がり、承認や達成感といった動機づけ要因を満たしていきます。

そうなると、仕事に集中し始め、問題社員化することはなくなります

おわりに

ぜひ、スコアキーピングとコーチングを活用して問題社員化の防止にお役立てください。

本日は以上です。

ありがとうございました。

山口真彦弁護士
山口真彦/YAMAGUCHI MASAHIKO

ウィンベル法律事務所代表。保有資格は弁護士、社会保険労務士、MBA(九州大学経営学修士)・CFE(公認不正検査士)。大学卒業後、中小企業で営業マンとして勤務したのち弁護士へ。弁護士登録後は、自身が中小企業で勤務していた経験をもとに、企業に関わるすべての人を幸せにするために弁護士にできることをテーマに日々活動している。交渉学に基づいた交渉術を駆使し、早期円満解決がモットー。