ウィンベル式無敵の労務管理Vol.24
従業員による不正行為を就業規則でどう防止するか
-その⑤-
ウィンベルの山口です。
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金曜日の今日は、「ウィンベル式無敵の労務管理」を配信します。
さて、本題です。
前回、不正行為が発生しないための対策として、クレッシーの不正のトライアングルを紹介しました。(前回の記事はこちら)
今回は、万が一不正行為が発生し、会社に損害が発生した場合の話をしたいと思います。
もちろん、従業員の不正行為によって会社に損害が発生した場合、その損害を従業員に請求するということも考えられます。
しかし、実際には従業員の資力の問題等で、回収できない場合もあります。
このような事態に備えて、入社時に身元保証人を立てている会社も多いと思います。
この身元保証については注意が必要なので、その注意点を紹介します。
①有効期限を確認
まず、今、自社で使っている身元保証書を確認してください。
身元保証書を取った日付はいつになっていますか?
身元保証については「身元保証二関スル法律」によって、その有効期間が原則3年(最長5年)となっています。
そのため、既に有効期限が切れているものもあるかもしれません。
ちなみに、身元保証書内に自動更新の規定を入れていたとしても、その条項は無効になりますので、自動更新の規定があるからといって安心しないようにしましょう。
継続する場合には、改めて更新の手続きが必要です。
②賠償額の上限額を設定
次に、身元保証人が負担する賠償額の上限額の設定も必要になります。
この上限額は、明確に定める必要があります。
よく、どのぐらいに設定すればいいかという相談を受けるのですが、あまりに低いと身元保証の意味もないですし、高すぎるとそもそも誰も身元保証は引き受けてくれない可能性もありますので、私は、「その従業員の年収程度にしてはどうでしょうか?」とアドバイスすることが多いです。
もちろん、職業的に現金を扱うとか大金を扱うという場合は、それ以上に設定してもらうこともあります。
③損害額の全額を回収できるわけではない
最後に、実際に身元保証人に請求した場合に、上限額以内であれば、損害の全額を回収できるのかというと必ずしもそうではありません。
会社側の過失の有無、身元保証を引き受けるに至った経緯、身元保証人の注意の程度など様々な事情を考慮して裁判所が決定します。
相場的には、概ね請求額の2割から3割程度の金額になる事案が多いです。
このような事情からすると、やはり不正行為はそもそも発生しないように事前の防止を徹底すべきですね。
本日は、以上です。
次回もお楽しみに。
よい一日を。
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