問題社員をどう管理するか|採用編

問題社員をどう管理するか その2~採用編~

はじめに

こんにちは。弁護士の山口です。

本日は、前回の続きで、問題社員対策について話をしたいと思います。

前回のコラムで、問題社員対策の中で最強の対策をお伝えしたと思います。それは、「採用」でしたね。

採用段階で問題社員、もしくは問題社員になり得る人を判断することができれば、経営者としては安心ですよね。

そこで、今日は、「採用」における問題社員対策についてお伝えしたいと思います。

ハーズバーグの二要因理論

「採用」の場面でぜひ知っておいていただきたい理論があります。

それが、ハーズバーグの二要因理論です。MBAでも学ぶ、経営学において重要な理論の一つです。

この理論は、簡単にいうと、仕事に対する満足には二つの要因が影響しているという理論です。

この二つの要因というものが、「動機付け要因」と「衛生要因」というものです。

動機付け要因

その要因が満たされると仕事に対する満足を高めることになる要因

衛生要因

その要因が不足すると仕事に対する不満足を高めることになる要因

つまり、衛生要因が満たされたとしても、それは仕事に対する不満足の解消にしかならず、従業員の仕事に対する満足にはつながらないということです。

それぞれの要因は具体的に以下のようなものと言われています。

動機付け要因

  • 達成
  • 承認
  • 仕事そのもの
  • 責任
  • 昇進

衛生要因

  • 会社の政策と経営
  • 監督技術
  • 給与や作業条件
  • 上司との対人関係

いかがでしょうか?

給与や休みを多く与えれば従業員は満足して働いてくれ、問題社員になるはずがないと思っていませんでしたか?

実は、そうじゃないんです。

働く際の条件面は、衛生要因なんです。

衛生要因なので、動機付け要因が満たされていなければ、「不満はないけど、意欲もない」という状態になるのです。

表

この理論は、よく会社側が従業員の「動機付け要因」を満たすために、評価制度や環境整備を行いましょうという文脈で出てくることが多いのですが、今回は、採用の場面でこの理論をどう活かすのかをお伝えしたいと思います。

衛生要員に強くこだわる人は問題社員化しやすい

採用の場面(特に、中小企業の場合)においては、「衛生要因」の充足に特に強いこだわりを示す人材を採用しないことが重要になります。

なぜなら、「衛生要因」の充足に特に強いこだわりを示す人は、採用後、職場に対して不満を抱きやすく、その結果問題社員化してしまうからです。

しかも、経営者は、そのような人材に対して、本人の不満を解消するために昇給したり、賞与を多めに渡したりと条件面を希望に合わせることで対応しがちですが、その結果満たされるのは「衛生要因」だけであり、本人の満足には繋がりません。

むしろ、その行為が本人の行為をエスカレートさせます。

このような理由から、「衛生要因」の充足に特に強いこだわりを示す人を採用時点で見抜くことが重要になります。

そこで、応募者が「衛生要因」にどのぐらいこだわりを持っているかを履歴書、アンケート、面接、適性テスト等工夫を施した採用の仕組みを導入し、運用することが重要になります。

採用の仕組みを改善し、問題社員対策をしましょう

ウィンベル法律事務所では、より具体的な採用の仕組みのコンサルティングサービスも提供しております。

問題社員対策の一つとして、自社の採用の仕組みを改善したい方はぜひお問い合わせください。

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山口真彦弁護士
山口真彦/YAMAGUCHI MASAHIKO

ウィンベル法律事務所代表。保有資格は弁護士、社会保険労務士、MBA(九州大学経営学修士)・CFE(公認不正検査士)。大学卒業後、中小企業で営業マンとして勤務したのち弁護士へ。弁護士登録後は、自身が中小企業で勤務していた経験をもとに、企業に関わるすべての人を幸せにするために弁護士にできることをテーマに日々活動している。交渉学に基づいた交渉術を駆使し、早期円満解決がモットー。